日本酒界の貴腐ワイン?!”あまぁ~い日本酒”貴醸酒に大注目!!

日本酒
Photo by Yamasha on Pakutaso

貴醸酒ってなあに??

「貴醸酒」という名前のお酒を聞いたことがありますか?実はこのお酒、特殊な製法により醸造された日本酒の一種なのです。日本酒には「日本酒度」といって辛口・甘口を示す指標があり、甘口の日本酒が-3.5~-5.9、大甘口が-6以下とされています。一方、貴醸酒の日本酒度は-30以下はアタリマエ、中には-50、-60なんて貴醸酒も!それを聞くだけでもとっても甘いお酒であることがなんとなく想像できますよね。

今回はその濃厚な甘さから貴腐ワインにも例えられ、注目の集まっている貴醸酒について調べました!

貴醸酒はなぜ甘い?

通常の日本酒(大吟醸や純米酒などのいわゆる特定名称酒)の原材料は「米、米麹(、醸造アルコール)」ですが、貴醸酒のラベルを見ると「米、米麹、清酒」となっていて、原材料に清酒が使われているのがわかります。この清酒こそが、貴醸酒を甘いお酒にしているポイントなのです!

貴醸酒は、清酒で仕込む贅沢なお酒

日本酒は三段仕込みといって、原料の米・米麹・水を3回に分けて仕込んでいくのが一般的です。しかし貴醸酒の場合、この3回目の仕込みに水ではなく清酒を使います。

清酒で仕込むとなぜ甘くなる??

日本酒はざっくりいうと、米のでんぷんが麹の酵素の働きによって糖に分解され(糖化)、この糖が酵母によりアルコール(と二酸化炭素)に変化することでお酒になります。しかしこの酵母、アルコール度数が高くなると死滅してしまい働かなくなります。

貴醸酒では3回目の仕込みに清酒(アルコール)を使います。するとどうなるか。もろみ(※米・米麹を仕込んだ絞る前のお酒のこと)中のアルコール度数が上がり、発酵が止まります。結果的に、米のでんぷんは糖化により糖に分解されますが、アルコールに変化しないまま残る糖が出てくるため甘くなる、というわけです。でも糖をお酒に変える酵母なのにアルコール度数が高くなると死んでしまうなんて不思議ですよね。

貴醸酒の歴史

そんな貴醸酒ですが、歴史は浅く昭和48年に国税庁醸造試験所(現在は独法酒類総合研究所)で開発された比較的新しいお酒です。当時は国賓の晩餐会にシャンパンやワインが供されていて、日本酒はそれらに比べると安価だったことから「そのような場にふさわしい贅沢な日本のお酒を」という目的のもと開発されたのだそうです。

ただ「お酒をお酒で仕込む」という製法自体は新しいものではなく、平安時代の延喜式(927年)にはお酒を使って仕込んだ「御酒」というお酒の記載があるそうです。

貴醸酒はこの製法を参考にして作ったわけではないようですが、結果としては近いものになったんだとか。ちなみに中国の紹興酒にも、お酒(紹興酒)で仕込んだ「善醸酒」というお酒がありこちらもやはり甘口で濃厚だそう。

貴醸酒にはどんなものがあるの?

貴醸酒は長期熟成にも向いているため、新酒だけでなく熟成酒が多く出ているのも特徴です。新酒は透明ですが熟成が進むと色が琥珀色に変化し、紹興酒やシェリー酒を思わせる味わいになります。また長期熟成酒の他にも、ワインやウィスキーの熟成に使われるオーク樽を使用して熟成した貴醸酒や、ワイン酵母を使用した貴醸酒など変わり種の貴醸酒もあります。

世界的なワイン品評会「IWC2018」受賞の貴醸酒をご紹介!

日本酒なのにワイン品評会?と思うかもしれませんが、世界的なワイン品評会であるIWC(International Wine Challenge)にはSAKE部門があり、貴醸酒も賞を受賞しているものが多数あります。今回はIWC2018で賞を受賞した貴醸酒と審査コメントをご紹介します。

IWC2018金賞受賞:仁井田本家「百年貴醸酒2014」

福島県の蔵元・仁井田本家さんの「百年貴醸酒2014」が金賞を受賞。審査コメントでは「ドライフルーツ、シナモン、セサミを思わせる香り、バランスの取れた甘さとバターのような風味でチーズの盛り合わせとよく合うだろう」と紹介されています。

 

仁井田本家「百年貴醸酒2014」

IWC2018金賞受賞:水戸部酒造「正宗貴醸酒2016」

同じく金賞を受賞した山形県にある水戸部酒造さんの「正宗貴醸酒2016」。審査コメントでは「軽やかでエレガントな貴醸酒。マスクメロン、さくらんぼ、梨のような香りがあり、青りんごのような酸味、レーズン、レモンティーなどが織り交ざった風味がある。香り高く、フローラルな一方でスパイシーさも併せ持っている」と紹介されています。2018年11月現在、HPではこの貴醸酒が載っていませんが、インターネット通販ではまだ取り扱いのあるところがあるようです。

 

IWC2018銀賞受賞「華鳩貴醸酒8年貯蔵2009」「華鳩さわやか貴醸酒オーク樽貯蔵2014」

貴醸酒を初めて商品化したといわれる貴醸酒のパイオニア、広島にある榎酒造さんの「華鳩貴醸酒8年貯蔵2009」「華鳩さわやか貴醸酒オーク樽貯蔵2014」はIWC2018では銀賞を受賞。「華鳩貴醸酒8年貯蔵」は過去のIWCで何度も金賞を受賞しており、安定しておいしい貴醸酒を出している蔵元さんです。ラインアップも豊富で、無濾過生原酒、熟成酒(8年、10年、20年)、オーク樽熟成、白麹使用、スパークリングなどいろいろな種類があります。審査コメントでは8年貯蔵で「コーヒー、キャラメル、タフィー、デーツやいちじくなどの香りが層になってやってくる。複雑でなめらか」と、さわやか貴醸酒オーク樽貯蔵で「チョコレート、ミルク、アプリコット、はちみつ、ローストしたナッツなどの香りがすばらしい舌触りの中に溶け込んでいる。レーズンやいちじくの香りが広がる」と紹介されています。2018年11月現在「華鳩さわやか貴醸酒オーク樽貯蔵」は新酒はHPに記載がありますが、古酒は載っていないようです。

 

榎酒造HP
IWC2018 HP

IWC2018銀賞受賞:西内酒造「談山」

奈良県にある西内酒造さんの「談山貴醸酒2015」も銀賞を受賞。IWCの審査コメントでは「濃縮されたシェリー酒と、かすかな味噌の風味。カラメリゼしたいちじくのようなうっとりする甘さ」と紹介されています。「かすかな味噌の風味」って気になりますよね。

西内酒造HP

女性へのプレゼントにもおすすめ!

濃厚な甘さの貴醸酒は、そのまま飲むだけでなくアイスクリームにかけてもおいしくいただけます。通常の日本酒とはかなり異なる風味なので、日本酒を普段飲まないという女性にもきっと気に入ってもらえるのではないでしょうか。

最後に

今回は注目の集まっている貴醸酒について紹介させていただきました。

おいしそうだな、と思ったら是非試してみてくださいね!

ちなみに、「貴醸酒」を名乗るには貴醸酒協会に加盟する必要があるため、加盟していない蔵元さんが同様のお酒を出す際には「再醸仕込み」「醸醸」「三累醸酒」など別の呼称をつけています。

Follow me!

コメント

  1. […] […]